1話目はメインの登場人物2人、エミシの頭領アテルイの逃避行と、山間に1人暮らす青年モレの山登り、それぞれの行動と邂逅が書かれています。
アテルイは匿っていたカリスマ爺に頭領の座を乗取られる形で本拠地を追われます。途中深い矢傷を受けながらも、そう簡単には死なねえという強いハートだけで山中を突き進み、追手を撒きます。日も沈んで体力ももう限界、という所で座り込んだ岩陰で、彼は得体の知れない化け物に呑み込まれ、暗転してモレの視点へ。
数日後の晴れた昼間、モレは採集のために山に入っていました。目当ては草木や獣ではなく、以前見つけた不思議な洞窟。彼はそこから金属製品や衣料など、謎の人工物を少しずつ発掘しては、使ったり売ったりするのが生業の一つです。その日も物を持ち出そうと洞窟を訪れると、その傍に若い娘が1人で眠っているのではありませんか。放っておくわけにも行かず、背負って家に連れて帰るモレ。後にその娘は「あのアテルイだ」と名乗ります。
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蕨戦線におけるアテルイは、当初40代前半のおっさんですが、山で得体の知れない化け物に食われたと思ったらどういう作用か娘さんになっているんですねハイ……!(実は8年ほど前にデザインだけ起こして遊んでいた際、性別をダイスで決めるという無礼を働いた結果女性になりました。そのあと苦し紛れに転生おっさん要素が追加された……という経緯があります)
一方のモレは当初、過去のことからアテルイという人物をかなり良く思っていない設定です。これについては2話〜3話で少しだけ明らかになりますが、彼の過去に関しては、後のお話でしっかり書いて行こうと思いますのでお待ち下さい。こっから段々ナイスなやけくそバディになっていくんだよ多分……!
ということで他人との遭遇について、モチーフになった時代となると、得体も知れない人間──もっと言うと、まだ人間かどうかもわからない者に手を差し伸べるということは、相当度胸がいることと思います。
山中でモレがアテルイを保護したことに関しては、折角見つけた宝の山の前で、死穢のようなものに触れてしまったり、野生動物と不意に遭遇してしまったりすることを回避したいがため、みたいなのも大きいかと思われます。その行動には経験的な科学知識が活かされると同時に、死生観や宗教観といったものからくる道理付けがなされている有様を表現できるようになっていったら嬉しいな……!
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